ブレインフィットネス研究所 BRAINFITNESS

運動により神経伝達物質の分泌が活性化する

運動により神経伝達物質
の分泌が活性化する

運動は神経伝達物質の分泌を活性化することがわかっています。神経伝達物質は、神経細胞(ニューロン)で生産され、シナプスで放出されて、神経細胞間の情報の伝達を介在する科学物質の総称です。100種類以上あるともいわれている神経伝達物質ですが、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、エンドルフィン、グルタミン酸、GABAなどの分泌が活性化することが示唆されています。ドーパミンは脳を覚醒させ、集中力や意欲を高め、快感などの感情を生み出し、ストレスを解消する働きを持っています。学習・記憶・注意・実行機能などの認知機能と関係し、作業記憶(ワーキングメモリ)との関連性が高いことが報告されています。ノルアドレナリンは、神経を興奮させる物質で生命の源泉ともなる強い覚醒で人間の意識を維持させる働きがあります。ドーパミンやノルアドレナリンの働きを適切にコントロールし、精神状態の安定に重要なセロトニンと運動の関係についても歩行、咀嚼、呼吸などのリズム運動が脳内のセロトニンの活動を増強させるという報告があります。

Veasey, S. C., Fornal, C. A., Metzler, C. W., & Jacobs, B. L. (1995). Response of serotonergic caudal raphe neurons in relation to specific motor activities in freely moving cats. Journal of Neuroscience, 15(7), 5346-5359.
Sano, S., Kaba, M., Sakamoto, M., Suzuki, I. S., & andArita, H. (2001). Activation of serotonergic nervous system by human rhythmical exercise (II). Neuroscience Research Supplement, 25, S69.
運動により脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加する

運動により脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加する

運動は脳の神経細胞の発生、成長、維持、修復に作用し、学習や記憶等の能力に影響を与える脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌に大きな影響を与えることがわかっています。脳由来神経栄養因子(BDNF)は脳や神経以外にも存在するタンパク質ですが、近年脳への作用が注目されている神経の栄養ともいえる物質です。脳内では海馬や大脳新皮質などに多く分布し、学習、運動、経験、記憶したことを効率的に海馬に記憶しておくために、重要な役割を担っていると考えられています。

近年、この脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌が運動により高まることが明らかになってきました。年齢、性別および脳の容積を考慮しても、一週間あたりの運動時間と記憶を司る海馬の量には密接な関係があることから、若年および中年成人における定期的な運動が推奨され、子供たちの学習能力に良い影響を与えることや大人においても脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌量の増加が確認されています。

Ferris, L. T., Williams, J. S., & Shen, C. L. (2007). The effect of acute exercise on serum brain-derived neurotrophic factor levels and cognitive function. Medicine & Science in Sports & Exercise, 39(4), 728-734.