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睡眠不足は認知機能を低下させる

睡眠不足は認知機能を低下させる

現代人は睡眠時間を削って仕事をしがちですが、実際睡眠時間を犠牲にすると、短期的には認知機能が低下し、仕事の効率が著しく低下します。長期的に続く睡眠不足は、睡眠負債となって脳にダメージを与えるとともに体にも大きな負担となります。
米国ペンシルバニア大学で行われた研究では、6時間睡眠を2週間続けると徹夜明けと同じレベルまで注意力が低下することが示されまし

研究ではまず、21~38歳までの48人の健康な人を4つのグループに分けました。3つのグループには、①4時間睡眠 ②6時間睡眠 ③8時間睡眠で14日間過ごしました。残る1つのグループは、④3日間徹夜してもらいました。注意力などを調べる認知機能検査を行い、睡眠時間と認知機能の関係を調べました。研究の結果、③8時間睡眠グループは14日間を通して、注意力を調べる検査の誤反応の回数が0~2回でしたが、④3日間徹夜グループの誤反応は1日目で約8回、2日目で約13回、3日目で約15回と増加し、徹夜を続けることで注意力が低下することが示されました。またこの研究では、眠気の自覚がないにも関わらず、仕事効率が著しく低下していることも明らかになりました。4時間睡眠を2週間続けると、3日間の徹夜状態と同じ程度、認知機能が低下し、6時間睡眠を2週間続けても徹夜明け以下のレベルに認知機能が低下することが示されました。脳を適切に休ませることで、パフォーマンスを発揮することにつながることが示唆されます。

Van Dongen, H. P., Maislin, G., Mullington, J. M., & Dinges, D. F. (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep, 26(2), 117-126.
仮眠で戦略的に睡眠不足を補う

仮眠で戦略的に睡眠不足を補う

眠気と戦っている脳のパフォーマンスは低下し、集中力や作業能力が落ちるといわれています。昼寝をすると脳のパフォーマンスがあがる効果が得られると言われています。パワーナップという15~30分程度の短い仮眠があります。時間あたりの睡眠の効用を最大化する睡眠法として知られています。NASAも戦略的なパワーナップの有効性を認めています。NASAが宇宙飛行士に行った実験によると、昼の平均26分間の仮眠が認知能力や注意力の向上に有効であることが示されています。

仮眠は正午から15時までの間にとること、30分以下、カフェインを先に摂る、などいくつかの条件で行うことが、午後のパフォーマンスや夜の睡眠の質を保つポイントです。

Rosekind, M. R., Smith, R. M., Miller, D. L., Co, E. L., Gregory, K. B., Webbon, L. L., … & Lebacqz, J. V. (1995). Alertness management: strategic naps in operational settings. Journal of Sleep Research, 4(s2), 62-66.